血尿には見た目にも分かる真っ赤な尿が出る血尿と、見た目にはわかりませんが顕微鏡で尿を観察すると赤血球が通常より多く存在する血尿があります。
見た目にも分かる血尿の疾患とは?
排尿時に痛みがある場合は?
尿路感染が疑われます。
女性で発熱していない場合は膀胱炎、発熱していると腎盂腎炎が代表的疾患になります。男性で発熱していない場合は尿道炎、発熱している場合は前立腺炎や精巣上体炎が鑑別にあげられます。尿道炎は、若い世代では淋菌やクラミジアなどの性行為感染症(STD)をまず疑いますし、高齢者では一般細菌(大腸菌など)を病原菌として考えます。
背部痛もしくは下腹部痛がある場合は?
尿路結石が疑われます。
尿路結石は腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石があります。背部痛もしくは下腹部痛があるのは腎結石、尿管結石の場合が多く、突然に痛みが発生して救急車で搬送されたりする場合も少なくありません。逆に膀胱結石、尿道結石は排尿痛をきたすので「排尿時に痛みがある場合」の例外疾患です。膀胱結石は体の不自由な方に多く、高齢者の入所施設やリハビリセンターなどで多くみられます。尿道結石は前立腺肥大症などで尿道が狭い方がなりやすく、尿道に詰まると尿が出なくなります。
自覚症状を伴わない場合は?
尿路腫瘍の可能性があります。
腎癌、膀胱癌、前立腺癌、腎盂尿管癌などが鑑別に挙げられます。もちろん前立腺癌は男性のみで、いずれの疾患も早期癌では自覚症状を伴いにくいです。
見た目に分からない顕微鏡で見つかる血尿の疾患とは?
上記のいずれも可能性があります。
自覚症状を伴わない血尿の場合、多くの方は健康診断で指摘されて泌尿器科を受診する場合が多いです。タンパク尿を伴う場合は腎炎、ネフローゼなどの内科疾患がまず疑われます。
どんな検査、治療が必要ですか
尿路感染の検査と治療
検尿、症状、直腸診などの診察で診断できます。一般細菌による尿路感染では尿検査で尿中白血球、細菌が増加しており、原因菌を尿培養で同定します。膀胱炎の場合は抗生剤を3日間程度服用して入院治療は必要ありません。3日間抗生剤を服用しても軽快しない場合、基礎疾患(膀胱結石、膀胱癌、難治性膀胱炎など)の有無を調べるため膀胱鏡検査、CTなどが必要になることがあります。腎盂炎や前立腺炎、精巣上体炎の場合は7~10日間程度抗生剤を服用します。全身状態が不良で十分な水分や食事がとれない場合、入院して点滴が必要となります。STDといわれる淋菌やクラミジアによる尿道炎では、通常の尿培養で同定できず尿中PCRという特殊なDNA検査が必要です。最近のSTDの治療は進歩しており、淋菌性尿道炎は抗生剤点滴1回投与、クラミジア性尿道炎は抗生剤内服1回投与でほぼ治ります。
尿路結石の検査と治療
尿検査で赤血球のみ増加し白血球、細菌は増加していないことが多いです。腹部の単純レントゲン写真と腹部超音波検査で結石の有無、位置を確認します。結石の種類(尿酸、シスチンなど)によってはレントゲンにうつりにくいものがありますので、CTを追加します。5mm以下の結石は自然と体外に排出することが多いため、内服治療により経過をみます。逆に10mm以上の結石は自然排石が難しく、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)が必要になります。当院では最新のESWLの機器を2008年秋に導入しており、砕石効果も高いです。ESWLでも治療困難な硬くて大きな結石の場合、内視鏡手術(経皮的、経尿道的手術)を行っており、開腹手術はほとんどしておりません。
尿路腫瘍の検査と治療
腎癌は腹部超音波検査でまず腎臓に発生した腫瘤を確認し、CTで転移の有無や進行度などを評価します。良性腫瘍との鑑別が必要な場合、MRIが有効です。腎癌では一般的に開腹手術が行われますが、当科では腹腔鏡手術、腎部分切除術などの低侵襲手術も積極的に行っています。転移のある手術のみで治療困難な症例では、従来はインターフェロンによる治療のみでしたが、昨年から分子標的薬という新しい薬を開始しています。
膀胱癌の検査と治療
膀胱癌は膀胱鏡検査という内視鏡検査が診断に重要です。以前は硬性鏡という固くて太い棒のようなカメラをペニスから膀胱内に挿入していましたが、現在は軟性鏡という細い柔らかいカメラで行います。早期癌ではカメラで腫瘍を切除しますが、進行癌では膀胱を全部とる手術(膀胱全摘術)が必要となります。膀胱をとった後は尿の出る道を作らないといけないのですが、一般的なストマ(回腸導管)の他に新膀胱という新しく腸管で膀胱を作る手術も行っています。転移のある手術のみで治療困難な症例では、化学療法が治療の中心になります。
前立腺癌の検査と治療
前立腺癌はPSAという血液検査で行う腫瘍マーカーの測定が重要です。PSA、直腸診、超音波検査のいずれかで前立腺癌が疑われた場合、入院の上で前立腺針生検を行い診断を確定します。早期の前立腺癌には根治的な手術もしくは放射線治療が必要となりますが、当科ではミニマム創といわれる小さな皮膚切開で行う低侵襲手術を積極的に行なっています。
腎盂尿管癌の検査と治療
腎盂尿管癌は尿細胞診という尿の中に癌細胞が混じっていないかどうか調べる検査が必要です。尿細胞診、画像検査で腎盂尿管癌が疑われるも診断がつかない場合、尿管鏡という膀胱鏡を長く細くしたカメラで病変の有無を調べることもあります。転移がない場合は外科的手術で腎臓と尿管を一塊に摘出しますが、転移がある場合は化学療法を行います。












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